その痛み、トリガーポイントが原因かもしれません! 

筋肉・筋膜に出来るトリガーポイントが、辛い痛みや違和感などの症状の原因となっていることがあります。このページではトリガーポイントできるしくみ特徴見つけ方を説明しています。

筋肉の小さな傷「マイクロトラウマ」

「筋肉に小さな傷がつく」と聞いてイメージ出来ますでしょうか?
傷といっても肉眼では見えない、顕微鏡ではじめて確認ができる位の小さなものです。「マイクロトラウマ」「顕微損傷」とも言います。
転倒などで突発的に強く筋を伸ばしたり、生活、仕事、スポーツの中で特定の筋を酷使したりすると、この小さな傷が筋細胞に発生することがあります。
筋細胞に傷がつくということは実は珍しいことではなく、例えば、ウエイトトレーニングで筋肉を大きくしたい場合、あえていったん筋細胞を破壊するということをおこないます。仰向けでバーベルを筋肉に効かすようゆっくり下ろしていく。そのようなトレーニング風景を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
これは筋肉が引き伸ばされながら力を発揮するエキセントリック(伸張性)収縮を有効に使ったトレーニングです。この負荷で細胞を壊し、その後の十分な栄養と休養の確保のもと、超回復によって筋を太くしていくのです。
このように再生ができる条件が整っていれば、筋肉に「マイクロトラウマ」が出来ても問題はありません。しかしそれらが不十分な場合、傷が回復しきれず代謝異常循環障害が生じて、筋は徐々に硬結、トリガーポイント化していく可能性があります。

※参考(Dimitrios Kostopoulos/Konstantine Rizopoulos、 川喜田健司翻訳『トリガーポイントと筋筋膜療法マニュアル 』、医道の日本社、2005、p.21.)

トリガーポイントができるしくみ/富士見台カイロプラクティックセンター

骨格筋の構造、筋線維と筋原線維

筋線維(筋細胞)は数百~数千の核を持つ細長い円柱状の細胞で、中(細胞質)に筋原線維が数百~数千存在しています。筋線維筋内膜に包まれ、集まって筋周膜に包まれた筋束を形成します。さらに多数の筋束筋膜(筋上膜)が包んでひとつのとなります。


一本の紐状に見える筋原線維は、実際には鎖のように筋節(サルコメア)が縦につながったものです。この筋節(サルコメア)筋線維(筋細胞)の収縮単位です。
筋節(サルコメア)は2種類の筋フィラメントで構成され、細い方がアクチン、太い方をミオシンといいます。アクチンミオシンは平行に並び端同士が重なります。ここは光を通しにくいため顕微鏡で確認すると色濃く見えます。これが骨格筋の特徴である縞模様となるのです(骨格筋の別名は横紋筋)。
筋節(サルコメア)が収縮して筋線維が短くなりますが、筋節(サルコメア)収縮の引き金を引くのがカルシウムです。カルシウムは筋原線維のまわりを横行小管とともに取り囲む筋小包体に格納されており、筋小包体が必要なタイミングでカルシウム放出し役目を終えたら回収もします。

筋線維の構成/練馬区 整体 富士見台カイロプラクティックセンター

 

筋肉の収縮/トリガーポイント形成のしくみ/富士見台カイロプラクティックセンター

 

筋肉の収縮/トリガーポイント形成のしくみ/富士見台カイロプラクティックセンター

 

ロープ状の硬結の形成

筋節(サルコメア)が収縮する実態は、アクチンがミオシンの間に入り込むこと。これをフィラメント滑走説といいます。
筋の小さな傷というのは、筋小胞体も損傷しているということを意味します。筋小胞体が損傷すれば、収縮する必要がないにも関わらずカルシウムが放出され、その周辺のアクチンとミオシンが入れ子状に重なることになります。 筋線維の中での筋節の部分的な短縮です。
収縮後、速やかに回収されるはずのカルシウムも回収しきれず漂うため収縮は持続します。収縮にはエネルギーを使います。老廃物も発生し滞留します。代謝異常・循環障害が生じて、このアクチンとミオシンが重なって戻らなくなった局所が硬結化すると考えられます。
筋線維の正体はたくさん連なった筋節。休止状態にある4cmの筋線維には2万個の筋節が連なります。部分的に筋節が収縮すれば他の筋節は硬結に向って引っ張られる。ピーンと張ったロープ状の硬結の形成です。

筋肉の収縮/トリガーポイント形成のしくみ/富士見台カイロプラクティックセンター
トリガーポイント・ロープ状の硬結/富士見台カイロプラクティックセンター

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トリガーポイントと関連痛

筋線維にできた硬結は進行すると圧痛を伴うようになります。感覚受容器(センサー)が過敏になるからです。問題がない筋肉は感覚受容器も正常に働いているため、強く押さない限りは、通常痛くはありません。
硬結はさらに進行すると関連痛を発生させることがあります。 関連痛とは、硬結(しこり)が内的・外的からの刺激を受けた結果、その深部や遠く離れた場所へ、痛み・しびれ・ズシーンとくる重だるさ・ひびきなどの異常感覚を飛ばす現象です。この関連痛を発生させた硬結をトリガーポイント(Trigger Point )といいます。「トリガー」は「痛みの引き金になる」という意味。弾を遠くへ飛ばすピストルに例えて命名されました。
関連痛は痛みを感じるその場所には原因がないため、痛みの盲点となりやすく、クライアントさんを困窮させている要因になっていることがあります。
普段感じている症状がトリガーポイント(Trigger Point )からきているのかどうかどう判断するのか? 
まず手で筋肉を触診して硬結を見つけます。次に押圧(外から刺激を加える)により、普段感じている同じ症状が再現できるかどうかでです。もし「あ。それそれ!その痛み」と再現できた場合、症状の原因はその筋のトリガーポイントからきていると推測できます。

トリガーポイントの関連痛発症例/腰痛・お尻の痛み/富士見台カイロプラクティックセンター

 

トリガーポイントの関連痛発症例/腰痛・お尻の痛み/富士見台カイロプラクティックセンター

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痛みの原因が筋肉からきている場合

トリガーポイントに限らず、もう少し視野を広げ、「この痛みの原因が筋肉からきているのかどうか」判断するための傾向を解説します。痛みの原因が筋肉からきている場合は以下の特徴がみられることが多いです。

  • ① 「にぶい痛み(鈍痛)」である。
  • ② 痛む場所が局所(ピンポイント)ではなく、漠然として範囲がやや広い
  • ③ 動作によって痛みが増す


切り傷など組織が断裂している場合などは鋭い痛みを感じます。筋肉のトラブルでも急性腰痛(ぎっくり腰)で鋭い痛みを感じることがありますが、基本的には筋肉からくる痛みはジンジン、ズーンとした、にぶい痛み、鈍痛であることが多いです。
痛む場所を手で示そうと思っても、筋肉から来ている場合は局所(ピンポイント)で示すのは意外と難しく、漠然と範囲もやや広いことが多いです。もし靭帯などが傷んでいる場合はピンポイントで痛みの場所を指で示すことができます。
傷んでいる筋肉を動かせば痛みが出ますが、じっとしていれば基本的には楽です。動作で痛みが出る、増すというのは筋骨格系のトラブルの特徴。傷めている筋肉や靭帯、関節を動かすから痛いのです。逆に安静にしていても痛い場合、楽になる姿勢がないという場合は注意が必要です。症状が内臓から来ている場合や、筋骨格系のトラブルでも、内部で腫れたり、熱を持ったり、炎症を起こしている可能性があります。

※参考(皆川陽一『月刊 医道の日本 2015年12月号』、医道の日本社、特集トリガーポイント鍼治療 筋筋膜トリガーポイント鍼治療法の概要と肩痛の治療 p.82~.)

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トリガーポイント研究のパイオニア

トリガーポイントマニュアル


トリガーポイント研究のパイオニア・世界的権威は米国の内科医、ジャネット・トラベル(Janet Travell)です。
1983年にデイヴィッド・サイモンズ(Simons)との共著 『筋筋膜性疼痛と機能障害:トリガーポイント・マニュアル』を出版。
この発表によりトリガーポイントが発生しやすい筋肉、関連痛の飛ぶエリアの傾向等が広く世界に知られるようになりました。
また、Travellは米国のケネディ元大統領の健康管理に尽力した主治医としても有名です。

トリガーポイントへの対応

トリガーポイント発生のしくみ/富士見台カイロプラクティックセンター

トリガーポイント(Trigger Point )は筋の小さな傷、顕微損傷をきっかけとして発生、進行しますが、若い頃は代謝が盛んで回復力も高く、硬結や硬結のトリガーポイント化はよく抑制されていることでしょう。
加齢に伴って代謝・回復力は低下します。そこに筋の酷使が重なると硬結はできやすくなります。例えば長時間のデスクワークをされている方。
仕事中は脊柱起立筋などの姿勢を保つ筋肉群が絶えず活動しています。長時間の筋収縮で中の毛細血管は圧迫気味になり、血行低下がおきます。老廃物もたまります。そのままずっと不動で座っていると、姿勢を保つ筋群は虚血傾向となり細胞の酸欠を引き起こします。これが筋の硬結、トリガーポイント化につながっていくのですが、対応としては1時間に1回は立ち上がって軽く歩く、などの血行改善を意識して実行するとよいでしょう。
このようにトリガーポイントを緩め症状を緩和するにはまずは血行をよくすること。 冷やすのは血行不良を促進し筋を硬くしますから避けます。
トリガーポイントからの痛みを自覚している場合は筋力トレーニングは痛みを悪化させますので避けます。筋疲労を回復するために適度に休む時は休み血行を促すための軽い運動 (歩行・ストレッチ・負担の少ない体操)入浴他、当院のように温熱療法や手技によるアプローチなどで対応するとよいと考えます。


※参考(Dimitrios Kostopoulos/Konstantine Rizopoulos、 川喜田健司翻訳『トリガーポイントと筋筋膜療法マニュアル 』、医道の日本社、2005、p.21.)

 

トリガーポイントの見つけ方

トリガーポイントが発生しやすい筋肉の部位はおおよそ決まっています。その知識に加え、どのような動きで痛みが出るのか、動作の確認および筋肉の触診によって、見つけることが可能です。
触診の基本はロープ・帯状のコリを探すことからはじめます。

トリガーポイントの見つけ方/富士見台カイロプラクティックセンター


筋肉の骨への付着部から付着部まで、点というよりはラインで調べます。この時、触診している術者の指は筋線維に対し軽く横断するように垂直に動かします。
さらにそのロープ・帯状のコリの中に、より刺激に対し敏感なしこりの部位がないか、注意深く探ります。しこりを見つけたら、を徐々に加え静止します。
圧痛の程度・関連痛が出ているかどうか確認します。硬結がトリガーポイント化している場合は、以下が発生する可能性があります。

 ①強い圧痛(押されている部位に感じる)
 ②関連痛(押されている他の部位に感じる)
 ③自律神経反射(胃腸がグルグルッと動いたり・手足が温かくなったり)

①②は心地よさを伴う痛みです。怪我などの損傷によって生じている痛み(炎症反応)の場合は心地よさはありません。

例:棘下筋のトリガーポイントの触診

トリガーポイントの見つけ方/肩の痛みの原因となりやすい棘下筋/富士見台カイロプラクティックセンター

症状の原因となるトリガーポイントが捉えられると、「あ、それそれ!」、「その痛み!」とかなりはっきり普段感じている症状の再現が自覚できます。再現できれば、この硬結を緩めることが症状緩解に役立つ可能性が高いです。

自律神経のバランスを整える/トリガーポイント/富士見台カイロプラクティックセンター


※参考(黒岩 共一『臨床家のためのトリガーポイント・アプローチ―鍼療法と徒手的療法の実際』、医道の日本社、2000、p.7他.)



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