特に思い当たる原因がない膝の内側の痛み/初回の施術


以下は、2016年10月にご来院された40代男性のTさん、膝の痛みでのご来院に対しての対応内容です。

まずお話をお伺いし状態を確認します。

実はTさんは約5年ぶりのご来院です。以前は腰痛のケアでお見えになられていました。
お話の内容は
 「右膝の内側が痛い」
 「ぶつけたりしたことはなくいつの間にか痛くなった」
 「4日前からで痛みが変わらない」
 「階段降りる時にとくに痛い」
 「腫れてはいない」
とのこと。もし膝をぶつけたり、ひねったりなどの外傷が痛みのきっかけであったり、熱を持って腫れているなどの炎症が見られるのであれば、膝への施術はおこなわないことも考えられますが、そのような状態ではありませんでした。安全に施術をおこなうためより詳しい確認に入ります。

立った姿勢を見せてもらいました。
「両脚に体重をかけられるかどうか」
「右膝がまっすぐ伸びているかどうか」
をチェックします。
膝に炎症(腫れ)があると膝をまっすぐ伸ばしにくくなります(膝の伸展制限)。
炎症により関節液が通常より多く分泌。膝の関節内の袋にたまり、膝が伸びるのを物理的に邪魔するからです。Tさんの膝はまっすぐ伸ばすことができていました。

ゆっくりハーフスクワットをしてもらいました。
「体重がかかった状態での膝の動き」
「どの筋肉を使って痛みが出るのか」
を確認したいためです。

同時にフォームも見ています。もし膝とつま先の向きが揃っていない場合は動作の修正が必要となります。両者の向きが揃っていないと膝関節へのストレス(膝を安定させる靱帯に)が大きくなるためです。
Tさんの場合はフォームに大きな乱れはありませんでした。しかし、このハーフスクワットで痛みが発生。「階段を降りる時は痛みが出る」というお話と一致します。

仰向けに寝てもらい、膝に体重がかかっていない状態にします。
Tさんの脚の筋肉の力を使わずに、術者の力を使って関節をゆっくり曲げ伸ばしします。
他動運動といいます。痛みが発生しました。
筋肉を使って痛みが出れば、その筋肉自体のトラブルの可能性が高いです。他動運動では筋肉の収縮を使っていません。それでも痛みが出たということは、関節の機能(滑り運動が適正におこなわれないなど)にも問題が起きていそうです。
施術する側はもちろんのこと、患者さんも無理は禁物、注意が必要な膝の状態です。
Tさんのお話では「痛くなったきっかけがない」とのことですが、何かしら膝に負担がかかることをされていた可能性が高いです。詳しくお話を聞く必要があります。

詳しく尋ねてみると
「3か月前からジョギングを始めた」
とのことでした。
まず間違いなく、痛みの引き金はジョギングにあると考えられます。Tさん自身は今まで問題なく走れていたので、ジョギングが原因とは考えていなかったそうです。
気温も低下し急に寒くなってきたことも関係するかもしれません。疲労が少しずつ蓄積し、3か月目になってはじめて表面化、症状として出たのだと推測しました。

これからどのような施術をおこなうのか説明させていただきました。
膝の動きに関係する筋肉群、代表的な大腿四頭筋をモニターでみてもらい、付着部が骨盤から膝のお皿(膝蓋骨)まできているということを確認してもらいました。痛みを感じる部分だけでなく、アプローチする部分はもっと広い範囲になるということをご理解いただくためです。

施術は筋肉だけでなく、骨格、関節も重視しています。
骨盤をチェックすると、右側が上方に引っ張られ、骨盤の関節(仙腸関節)の動き(弾力性)は左側が硬くなっていました。
仙腸関節は数mmですが可動があります。脚を通じて伝わる地面からの衝撃を和らげてもくれます。
左右対称にある関節は、動き、傾きなどの左右差はなるべく少ない方がよいと考えています。バランスの差が大きいと、左右対称の動作を繰り返した時に、片側に負荷がかかりすぎることがあります。

仰向けに寝た状態で、右足はより外側に大きく倒れる傾向があります(右股関節の外旋変位)。股関節の動きも確認します。

右の股関節を曲げていくと、内側への動きの抵抗が左よりも強く感じられました(右股関節の内旋・内転制限)。 抵抗はカチッとした硬い感触を感じましたので、骨格自体が内側に行きにくいような形になっているのかもしれません。
動きをある程度回復していきますが、無理に動かしすぎると痛みが出る可能性があるので注意しながら施術をおこないます。
右股関節の動きの硬さについてはご本人も、施術されながら「そう言われればそうだな」と感想を述べておられました。自分のからだの状態は意外と自分自身ではわからないものです。

結果的に重点をおいた施術は

骨盤・股関節の動きの調整(モビリゼーション)
大腿直筋を中心に大腿四頭筋、中殿筋など骨盤周りの筋肉の調整(トリガーポイントのリリース)
生活習慣へのアプローチ・・・提案「1週間はジョギングをストップしていただくか、走るのならばかなり距離を減らしてほしい」

以上でまずは様子をみていただくことになりました。

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特に思い当たる原因がない膝の内側の痛み/2回目の施術

2回目のご来院は3週間後でした。

状態をお伺いすると
「少し痛いこともあるがだいぶよい」
「ジョギングは再開している」
とのこと。

初回と同じようにハーフスクワットをおこなうと、少し痛みが出ました。
仰向けでの他動運動での膝の屈伸では痛みは出ません。前回よりも改善しています。

痛む場所も変化がありました、膝の内側ではなく、より中央に近い部分へと移っていました。大腿の裏側の筋肉(ハムストリング)のハリも感じるとの事。

施術は右の大腿直筋外側広筋の圧痛がより目立ちました。腰~骨盤部に加え、大腿部の筋肉の調整に方針としてはより時間をかけるよう施術内容を組み立てました。

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