カイロプラクティックの説明

カイロプラクティックとは
カイロプラクティックは1895年に米国で生まれた脊椎手技療法で、創始者はダニエル・デビッド・パーマー(Daniel David Palmer)です。カイロプラクティックという名前はギリシャ語による造語です。「カイロ」=「手」、「プラクティック」=「技術」という意味があります。

カイロプラクティックの発展
カイロプラクティックは一民間療法(一般の人が民間に伝承されてきた方法で行う病気の治療法)として誕生。約100年の発展の過程で変化を遂げ、現在では医療の専門職として、一部の国(米国、英国、オーストラリア他)では法制化がなされています。

オステオパシー
米国で同時代に誕生し、医療の専門職として認められるようになったもう一つの民間療法がオステオパシーです。1874年に医師であるアンドリュー・テイラー・スティルが創始しました。「オステオ」は「骨」、「パシー」は「治療」という意味で、こちらもギリシア語が語源です。 
背骨の調整、筋骨格系を対象とする手法という点で似ているカイロプラクティックとオステオパシーですが、D. Dパーマーは神経系を重視したのに対し、当時のスティルは血液循環により注目しました。

カイロプラクティックは西洋で生まれたのになぜ東洋医学的な考え方をするのか?
D. Dパーマーはスティルと違って正式な医学教育を受けていないため、米国でのカイロプラクティックは、長年、医学界から迫害されてきたという歴史があります。しかしながらパーマーは並外れた勉強家だったことが知られており、多くの書物を読んで当時の哲学や科学を独学で身につけていたようです。晩年には移動図書館も所持していたほどです。
カイロプラクティックは西洋で生まれながらも、東洋医学の考え方と似ている部分が見受けられます。症状を薬でおさえこもうとするのではなく、エネルギーの流れ、自然治癒力を何より重視する点です。これは、パーマーが世界のあらゆる療法、とくに東洋医学を研究していたことを裏付けるものと推測できます。

パーマーが磁気治療師として開業
D. Dパーマーは1865年、20歳の時にカナダから米国のアイオワ州に移住しました。国内の情勢が不安定な南北戦争の頃です(南北戦争というと映画『風と共に去りぬ』が有名ですね!)。
食料品の行商や、蜂蜜の製造、農園の経営、教会、いわゆる日曜学校の先生など様々な仕事を経験した後、1886年の40歳の時には、ダベンポートで磁気治療師として開業。院は繁盛し、中東部全域から患者さんが集まったといわれています。建国(1776年)後の歴史の浅い当時、国内は医師が不足して多くの民間療法家が活躍しており、D. Dパーマーはその一人だったのです。

カイロプラクティック誕生伝説
1895年、D. Dパーマー50歳の時にカイロプラクティック誕生のきっかけとなる出来事がおきます。患者さんはパーマー家の使用人、ハーベイ・リラードさん。リラードさんは重荷をかつごうとした時に突然、背部に異常な音を感じ、それ以来、徐々に聴力が低下してついには難聴になってしまった、とのこと。
D. Dパーマーは当時、背骨の突起をテコにしておこなう独特な矯正法「アジャストメント」を考え出しており、その技法をリラードさんの背骨(第4胸椎)におこなったのです。背骨の一部に異常な隆起が認められたからです。結果、リラードさんの聴力は回復したとされています(※あくまでも伝えられている話であり、難聴が必ず背骨の矯正で治るというものではありません。また、矯正した骨は胸椎ではなく、頸椎だったという説もあります。いずれにしても、背骨からは耳には直接神経は入っていないため、当時のカイロの治効理論をそのまま当てはめることはできません。ではどう考えるか?そのあたりは学生時代、カイロの学校で興味深く聞いた覚えがあります)。
D. Dパーマーはこの出来事をきっかけに、脊椎手技療法をカイロプラクティックと命名。他の様々な問題を抱えた人々に同じ方法で治療をおこなっていきます。そして、「サブラクセーション」という椎骨の「変位」が神経根を圧迫し、神経の伝達を妨げる。これが病気の原因であるという概念を確立します(※初期のカイロプラクティックの理論)。
2年後にはカイロプラクティックスクール(Chiropractic School and Cure)も創設し、カイロプラクティックの技術と理論を学校教育によって人々に世の中に広めていきます。

サブラクセーションとは?
カイロプラクティックでは「サブラクセーション」という言葉が使われます。サブラクセーション(Subluxation)とは何かというと 「ある椎骨が、その上下の椎骨との関係において異常な位置にあること」と定義されます。
椎骨というのは、背骨を構成する一個一個の骨のことで、つまり「背骨がズレている状態」を言うのですが、当センターではこの表現は使いません。理由は大げさな印象を与えるからです。
カイロプラクティックが扱うサブラクセーションは、「背骨のずれ」といってもごくごく僅かなものです。関節が本来もっている動きの範囲内での機能異常なので、病院では異常とはみなされません。しかし、この「サブラクセーション」を回復すると、関節は動きやすくなって周りの筋緊張は緩和され、体の調子はよくなることが多いのです。

背骨は結構丈夫に出来ている?
これは本当です。背骨は、事故や転落など余程の大きな外力がはたらかない限り、大きくズレることはありません。大切なところなので、椎間板や関節、多くの靭帯によって丈夫に連結されているのです。もし背骨が大きくズレたとしたら、それはすぐに処置をおこわなければならない危険な状態です。
反面、無理な動作や長時間の不自然な姿勢をとったりすると、小さなズレというのはよく起きます。当センターでは、それらを「背骨のずれ」というよりは、「関節の歪み」と表現した方がより適切と考えています。

サブラクセーションの定義
実はサブラクセーションという呼称は、カイロプラクティックの業界内でもそのカイロプラクターの考え方により、様々な呼び名でよばれています。関節機能不全・リストリクション・サブラクセーション複合体・サブラクセーション症候群などです。ACA(American Chiropractic Assosiation)が1972年から使用している定義ではこのように書かれています。
「サブラクセーションとは、隣接関節構造の正常な動力学的、解剖学的、そして生理学的関係の変調である」
米国医学界との長年の軋轢の結果、ある理由があって、このような抽象的な表現になったのです。

リスティング
サブラクセーションの種類として、どのように背骨がズレているのかを分類する方法が考え出されました。これをリスティング(Listing)といいます。回旋型、上・下方移動型など様々なものが想定され作られています
リスティングには流派があり、背骨の棘突起の動きを基準にみていくものや椎体全体の動きを基準とするものなどがあります。


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