関節の動きの低下と痛みとの関係

関節の動きが低下している状態を関節フィクセーション(ハイポモビリティ・hypomobility)といいます。関節フィクセーションがあると、その関節自体も無理な突発的な動きがかかった場合にダメージを受けやすくなります。また、他の関節が代償作用で動くため、負担が蓄積した場合はその場所に痛みを引き起こすことがあります。
関節フィクセーションには主に以下の3つの原因が考えられ、それぞれの対策が必要です。

① 線維化した組織

過去怪我組織の損傷の後遺症として関節フィクセーションが生じていることがあります。筋膜・筋・腱・靭帯などの軟部組織を損傷すると、修復するために体内で炎症反応が起きます。この炎症反応は過剰になることが多く、加えて、安静にし過ぎたという条件が加わると、本来の組織とは質が違う、柔軟性の低下した組織(線維組織)が再生されてしまいます。競技復帰のためには、この線維組織が出来るのをいかに最小限に抑えるかが重要で、怪我のあとの早期リハビリが大切といわれる理由はこのためでもあります。
線維化した組織が関節の動きを妨げている場合はマッサージなどの関節の外、筋肉へのアプローチだけでは足りなく、関節を動かす手技が必要となります。

② 痛みによる筋スパズム

痛みによる過剰な運動神経の興奮による、筋肉の不随意収縮(筋スパズム)の持続も関節の動きを低下させます。痛みによって関節・筋肉を使わなくなることが悪循環となり、関節の機能をさらに低下させます。まずは、痛みを軽減することが第一。次に関節、筋肉を動かす方向にもっていくことで治癒を早めます。

③ 関節内のトラブル

関節内のトラブルで関節フィクセーションが起きていることもあります。例えば、背骨の後方にある椎間関節に、やわらかい滑膜といわれるひだが入り込んではさまってしまうもので、これは関節ロッキングと呼ばれます。関節間を引き離すような手技、ボキッという関節音を伴うカイロプラクティックの手技(アジャストメント・CMT)が著効を示すケースです。挟まっていた組織が瞬間に外れ動きは元通り回復します。

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