背骨・骨盤の動きの調整

関節フィクセーション

関節の動きが低下している状態を「関節フィクセーション(ハイポモビリティ・hypomobility)」といいます。関節フィクセーションは背骨の関節に限らず、体中のあらゆる関節におきる可能性があります。近代のカイロプラクティックの考え方では、静止している状態の歪みよりも、 可動性(動き)をより重視して背骨や骨盤をチェックしていきます。
関節フィクセーションがあると、その関節自体も突発的な動きに対して損傷を受けやすくなりますが、一方で、他の関節に痛みを引き起こすことがあります。動きをカバーするべく、代償作用によって動き過ぎてしまうためです。関節を覆っている靭帯などが伸ばされ過ぎ、警告として痛みを発するのです。
この場合は、痛い部分のみのケアでは不十分で、動き過ぎの原因となっているフィクセーションがある関節の機能を回復していくことが必要となります。

原因① 線維化した組織

関節フィクセーションは例えば、過去急性の怪我組織の損傷の結果生じていることがあります。筋膜や筋・腱・靭帯などの軟部組織を損傷すると、修復するための炎症反応が起きます。この炎症反応が過剰になることが多く、安静を保ち過ぎたという条件が加わることで、柔軟性の低下した組織が再生されてしまいます。この線維化した組織が動きを妨げてしまうのです。マッサージなどの筋肉へのアプローチだけでは効果が薄く、関節を動かす手技が必要となります。

原因② 痛みによる筋スパズム

そのほか、痛みによる筋肉の不随意収縮(筋スパズム)の持続も関節の可動を低下させることがあります。痛みによって関節・筋肉を使わなくなること、安静が状態をさらに悪化させます。痛みを低下させ、動かす方向にもっていくことが治癒を早めます。

原因③ 関節内のトラブル

関節内のトラブルで関節フィクセーションが起きていることもあります。背骨の後方にある椎間関節に、やわらかい滑膜といわれるひだなどが入り込んではさまってしまうもので、関節ロッキングと呼ばれます。関節間を引き離すような、ボキッという関節音を伴うカイロプラクティックの手技(アジャストメント・CMT)が著効を示すケースです。挟まっていた組織が瞬間に外れるからです。

関節調整の方法

関節は、ボキッという操作をおこなわず調整することが可能です。
まずは以下のように手で動きが低下している方向抵抗感から読み取ります。関節の歪みを推測出来たら、矯正方向に圧を加えて動かしていきます。からだはバランスがとれる方向への動きは心地よいと感じることがほとんどのため、調整には嫌な痛みはありません。

 

【補足資料】大切な背骨の役割

背骨(脊柱)は私たちの体の中心に存在し、以下の役割をはたしています。
 ①支える(支持性)
 ②動く (可動性)
 ③守る (保護)

①「支える」
中心の柱として体幹(胸部~腹部)を支え、重力下で姿勢を保持します。

②「動く」
脊柱は椎骨同士が椎間板や椎間関節で連結したもので、各椎骨それぞれ可動性があります。
この可動はヒトの円滑な活動のために必要です。

③「守る」
脊髄などの神経組織、および脊髄を取り巻く液体(髄液)を包み保護しています。

脊柱の構成

脊柱は椎骨が尾骨まで繋がった部分で、以下に区分されています。

頚椎7個
胸椎12個
腰椎5個
仙椎(5個の椎骨が癒合して仙骨に)
尾椎(3~5個が癒合して尾骨に)


椎骨の3点支持

椎骨同士は以下の3点により支持されます

・後方の椎間関節(2点)
・前方の椎間板(1点)

椎間板の構造

椎間板は食べ物に例えるならば「大福」「あんパン」のような構造です。
あん(髄核)をパンの生地(線維輪)がバームクーヘンのように取り囲んでいます。
パンでは構造上弱いイメージしか持てませんので、自動車・オートバイの「タイヤ」の方がより例えとしてはわかりやすいかもしれません。

線維輪
 コラーゲン線維束が円周状・層状に存在
 自動車の「タイヤ」にたとえられます。

 ※コラーゲン(線維性のタンパク質)
 ※円周状( 円を形づくる線。円のまわり)
 ※層状(重なって層をなしている)

髄核
 プロテオグリカン(糖とタンパク質の複合体)が豊富に含まれています。
 プロテオグリカンは保水力が高く、ウォーターバッグの役割を果たします。
 線維輪に囲まれた結果、タイヤ内の高圧の「空気」に該当します。

椎間板とタイヤ

自動車のタイヤは以下の4つの役割を持ちます

①クルマの荷重を支える
②地面からの衝撃をやわらげる
  中の空気やゴムの弾性がクッションの役割を果たす
  快適な乗り心地になる
③走る、止まるためにクルマの力を伝える
④方向を決める(曲がる、まっすぐ進む)

背骨の場合、椎間関節「④方向を決める」役目を果たし、椎間板「①荷重を支える」「②衝撃をやわらげる」役割を持っています

椎間板は基本的には重さを支える強度が必要なので丈夫です。

椎間板の弱点→カイロプラクティックで補うことが可能

丈夫な椎間板にも弱点があります。
椎間板内に血管が存在しないことです。
結果、修復条件が快適ではなく、故障しても椎間板の再生は迅速に進みません。また、誰しもが年齢を経ることで椎間板内の水分が徐々に減少していき、椎間板自体の厚みが少なくなって柔軟性が低下してきます。
椎間板の劣化を防ぐには、日常生活で適度にからだを動かす(=背骨を動かす)ことが効果的です。椎間板は背骨が動くことで(荷重→非荷重の繰り返し)、周りの組織から栄養分をもらえるからです。
カイロプラクティックで背骨のよい動きを保つ意義の一つとして、この「椎間板の健康を保つ」ということがあげられます。