「寝違え」について

■「寝違え」とは
「寝違え」は、無理な体勢で長時間寝ていたり、寝返りをうつときに無意識に負担がかかる動きをして、首から肩にかけての筋肉や靭帯を傷めてしまったもの。痛みは軽いものから「まったく首が動かせない」重いものまで様々です。

■「寝違え」のはじめの対処法
「痛いところを押せばよくなる」「痛いのを我慢して動かせば早く治る」という考えは禁物で、痛みが強い場合は無理に動かさないことが肝心。
炎症があるかどうかは自分でも確認できます。痛みを感じる部分に手の甲側の指を当てます。、もし熱感が感じられれば、皮膚の下で炎症が起きている可能性が高いです。

炎症があるということは、内部で組織が損傷していることを意味します。顕微鏡でやっとわかるぐらいの小さな傷です。だから、無理に動かしてはいけないのです。
熱感があって痛みも強い場合はアイシングが有効。30分程、ビニール袋に氷水を入れて患部を冷やします。はじめは冷たいですが、炎症があるとと冷やすこと自体が心地よく感じられるはずです。

だんだん感覚が麻痺してきたらアイシングが効いている証拠。時間がたったら、当てている氷水を外し20分くらい休みます。再度アイシングをおこなう場合は15分~20分くらいでOK。1回目だけ患部は温度が高いので時間が長いのです。
再び外して休む、このようなサイクルを2~4回繰り返します。心地よく感じられる限りは繰り返して大丈夫です。

■「寝違え」はどれくらいで治るのか
まず3日間は無理な首の動きをしないよう注意します。今日より明日、明日より明後日と痛みは少しずつ軽くなっていき、たいてい1週間後には跡形もなく治っていることがほとんどです。
からだは組織の損傷直後から修復に入ります。患部が熱く腫れるのは、修復するための材料を血液とともに運んでくるから。ただ、私たちの体はその修復反応が行き過ぎてしまうことが多く、そうすると反対に治りが遅くなるのです。それを抑えるのがアイシングです。急性期の初期対応が重要な理由です。

■急性の痛みの背景には蓄積疲労がある
元々、首や肩のこり、背中の張りがひどい人が、心身の疲労がピークに達している時は注意が必要です。「ギックリ腰」もそうですが。急性の激しい痛みが起きる背景には、例え自覚がないとしても、深部に蓄積した疲労があることがほとんどです。再発を防ぐためには、この蓄積疲労をできるだけ解消していくことが大切です。

■寝違えのときの施術
「寝違え」に対し、カイロプラクティックの施術は患部に負担をかけない方法を選択します。痛みが生じる方向には動かしません。徒手牽引といって、頸椎の関節を静かにゆっくり離開(開いていく)していく手技をよく使いますが、牽引されることが、クライアントさんにとって心地よい場合、痛みが楽になるのであれば、この方法は合っていると考えられます。
もし痛みが悪化する場合は中止します。別法としては、首を痛みがない方向にまず動かし、ある一定時間静止。そこからゆっくり。スローモーションのように、首の位置を元の体勢へ戻していくという方法もあります。

■蓄積疲労の解消に自律神経系への働きかけをおこないます
蓄積疲労をとっていくには自律神経系のバランスを整える施術も有効です。具体的には、背骨とその周囲の筋肉のこわばりをとっていきます。腹部のこわばりをとるのもひとつの方法です。もし「寝違え」などを繰り返すような場合は、自律神経に働きかけるカイロプラクティックの施術も改善策の一つとしてご検討ください。

<参考 自律律神経とは>
自分の意思とは関係なく、24時間、体の機能をコントロールするために自動的に働いてくれている体の仕組み。眠っている時でも呼吸は止まらず、食事をしたら自動的に消化して栄養を腸で吸収してくれるなど、生きていくうえで欠かすことができない。緊張モード(アクセル)の交感神経とリラックスモード(ブレーキ)の副交感神経から構成され、両者はシーソーの関係で平衡を保つ。
自律神経系は外部からの刺激や情報に反応する。カイロプラクティックは背骨とその周りの組織へ刺激を加えることで、その反応を引き出し、健康機能の回復・増進に活かしている。

2019年03月04日