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30代女性のクライアントさん、背中の痛み、首から背中にかけての辛いこりに対しての対応内容です。
まずお話をお伺いし状態を確認します。
「2週間前から首から背中にかけてコリが辛い」
「仕事(デスクワーク)で首を前に曲げると背中の真ん中あたりが痛い」
とのこと。
はじめに座った状態で痛みを感じる部分を確認。
痛む部位に、もし赤みや腫れなどの炎症があればその部分へ刺激を加えることは禁忌となり、アイシング、安静が必要となる場合があります。そのようなことがありませんでしたので、施術開始となりました。
背骨(脊柱)の動きをチェックします。動作テストと言いますが、座った状態でゆっくり背中を丸めたり、反らしてもらいます。
いずれも動きがぎこちなく、動きの幅が低下。可動域減少がみられました。筋肉に疲労がたまり、伸び縮みしにくくなっているようです。
首も無理のない範囲で前に倒したり、後ろに反らしたりしてもらいます。
こちらも動きの幅は減少。とくに首を前に倒した時は「背中に突っ張るような痛み」が発生します。まずは仕事がもっと楽に出来るよう、この痛みを緩和することが目標となります。
続いてモーション・パルペーションという一つ一つの骨の動きを見る検査では、首の骨の下の方(下位頸椎)に硬さ(ブロック)が見られました。
背骨の弯曲、カーブも調べます。背骨は歩行などの体の動きに伴う縦方向の衝撃を和らげるため、緩やかなS字カーブを描いています。クライアントさんの背骨のカーブは全体的にフラット(平ら)な感じでした。
日本人は傾向として欧米人に比べ、背骨のS字カーブが少ない方が多いと言われます。確かにいろいろな競技で欧米の選手の体型を見ていると、日本人に比べてより筋肉質で、とくに胸の厚み(胸囲)は違うなと感じます。プロレスの神様と呼ばれるカールゴッチという名選手がおられましたが、ゴッチさんの体幹の厚みは、まるで「ドラム缶!」かと思うくらい厚く、まず日本人では見たことがない体型でした。胸の厚みがあれば、その分、背骨のS字カーブもよりはっきりするわけです。
「座っている時の姿勢」も確認します。普段の「座り方」が、その方の背骨のカーブや歪み、背中の状態に影響を与えている可能性があるからです。
「だいたいで結構ですので、お仕事をしている時の姿勢を再現していただけませんか」
そうお願いして仕事中の姿勢を見せて頂きました。当院は壁一面の鏡がありますので、クライアントさんといっしょに姿勢の確認が出来るのです。
だいぶ前傾気味に座っておられました。仕事が忙しい時は、たいていこのような姿勢になるものです。結果、頭や首が前に出た姿勢となり、そのままの姿勢でうつむきながら作業を繰り返すことが多いそうです。
頭が前に出た姿勢は「頭部前方移動姿勢」と言います。姿勢の歪みのタイプとして、もっとも多いもので、いわゆる「猫背」とも呼ばれます。
頭が前に出てしまうのは、私たちの目が顔の前についていて、体の前で手作業をする以上、致し方のないことでもあります。ですが、あまりにも長くこの姿勢が定着すると、5~6キロもある頭の重さを支える負担で筋肉や靭帯などの組織が疲労しきってしまい、違和感や痛みという形で悲鳴をあげることがあります。意識してニュートラルな姿勢に戻る時間を確保する必要があります。
デスクワークで長時間、前かがみになって、うつむくような姿勢をとっている負担がピークに達しているようです。背骨のカーブがフラット傾向にある場合、急角度で首を曲げる姿勢はより負担が大きいことがあります。
施術方針としてはまずは背骨(胸腰椎)の柔軟性回復、背中の筋肉のコリの緩和、その後に頸椎の調整、最後に座る姿勢の改善としました。
セルフケアとしてはオフィスでも出来る「座っておこなう背中の体操(丸まったり反らしたり)」を提案。通院継続中です。